第2回 「尾瀬 ~会津鉄道沿線の魅力~」
尾瀬
~会津線沿線の魅力~
会津鉄道(株)
常務取締役 五十嵐 司也
会津鉄道沿線には、多くの自然環境や歴史を感じさせる遺産がありますが、今回はその中で、奇跡的に手付かずの自然を保っている尾瀬を紹介いたします。
尾瀬は、福島県、群馬県及び新潟県に囲まれており、このうち尾瀬ヶ原等の湿地帯が760ha(東京ドーム160個分)の広さがあります。この尾瀬の湿原や尾瀬沼は約1万年前、「燧ケ岳」等の噴火により川がせき止められて出来たそうです。
尾瀬は自然環境を守るため、約100Kmの歩道(木道)を整備し歩道以外の立ち入りを禁止しております。また、ごみの持ち帰り運動の発祥の地であり、自家用車の乗り入れ規制にいち早く取り組み、日本の自然・環境保護運動の象徴となってきました。
私は、この3年間で、会津鉄道にて会津高原尾瀬口駅まで行き、バスに乗り換え日帰り2回、山小屋泊りで2回尾瀬へ行ってきました。尾瀬に入山した瞬間から、観光地にありがちな「ごみ」が一つも落ちておりません。山小屋では、お風呂での石鹸・シャンプー禁止、歯磨き粉禁止等々自然環境を守ることを徹底しております。
40年前は、多くの入山者がおり山小屋宿泊は屋根裏部屋に雑魚寝状態でした。現在は混んでいる季節は別として、個室の対応もして頂けるし、なんとトイレはウオシュレットでした。
尾瀬の魅力は、季節ごと、朝・昼・夕方ごとにそれぞれ生き生きとした、自然が本来持っている表情をもっております。10月の後半から深い雪のため5月頃までは入山できませんが、約半年間に、6月からはあの「夏の思い出」に歌われている「水芭蕉」が、7月には「ニッコウキスゲ」が一斉に咲きます。また、10月には一面の草紅葉や葉を落とした木々など雪に覆われる直前の幽玄の別世界が待っております。
尾瀬は、どの季節に行っても本来の自然とはこうしたものだと感じさせます。
会津の皆様にとっても尾瀬の魅力は解っているのですが、車で行くには距離が100Km以上あることや車の乗り入れ規制、更に、尾瀬に入山するには峠越えがあることを考えると、健脚な方以外はなかなか行けません。
会津鉄道では、年に3回(水芭蕉が咲く6月10日、ニッコウキスゲが咲く7月22日、紅葉の10月7日)、誰でも参加できる片道3.5Kmコースの「尾瀬ハイキング」を企画しております。定員は40名で、添乗員が同行しサポートします。帰りには温泉で疲れを取るというコースですので、是非参加され尾瀬の自然に触れてみてはいかがでしょうか。
※この文章は会津嶺2017年5月号に掲載されたものです。