第4回 「会津田島祇園祭近づく ~天領の誇りと心意気を見せて~」
会津田島祇園祭近づく
~天領の誇りと心意気を見せて~
会津鉄道(株)
代表取締役社長 大石 直
7月22日、リバティ会津111号が乗車率100%で田島駅に到着する。翌23日朝7時15分、会津若松からの臨時列車も満員の客で到着する。いつも空席の目立つ会津線が、この期間は浴衣姿のお客様で席を埋める。夢ではない、多分今年はこうなる!
国指定重要無形民俗文化財、日本三大祇園祭の一つ、会津田島祇園祭の三日間である。八二〇余年の歴史を持つこのお祭り(神事)を説明するには紙面が足りないので、詳細は歴史春秋社発行の「会津田島・祇園祭」を読んでいただくとして、私が毎年感動している行事を二、三紹介してみたい。
このお祭りの最大の特徴は「お党屋制度」であろう。現在は九組の当番・お党屋組が、一年神主として祭事を担当する制度である。この三日間だけではなく、実は7月15日の「お千度」から、7月24日の「太々神楽」まで諸行事が続く。しかも、前後合わせて三年のあいだ関わるそうで、この地域の信仰心の熱さと誇りとに、深い感動を覚えた。
7月22日朝10時、田島鎮守の田出宇賀神社において、例大祭が挙行される。来賓として招待を受け、初めて参列した時は本当にびっくりした。と同時に、会津の地にこのような古式豊かな祭礼が、今も脈々と受け継がれていることに、またまた感動。
招待状の添え書きに、「服装は礼式で」と書いてあった。この真夏に「クールビズ」ではないのかと確認したら、「ネクタイはお願いします」とのこと。当日、神前に正座している氏子の方数十名は全て裃姿だった。頭が下がった。クールビズなどとのたまった自分がたまらなく恥ずかしかった。
そして夕刻、四つの町内から子供歌舞伎の移動部隊となる大屋台が運行される。この歌舞伎を披露する家(芸場)へ移動するのに、かつては交差する屋台同士の喧嘩も恒例であったようで、その名残が今でも残っており、その運行の激しさは見るものを興奮のるつぼに引き込んでくれる。勿論、子供歌舞伎は素晴らしく、長く続けられることを祈っている。また引手にかける「オーンサン・ヤレカケロ」という意味不明(諸説あり)の掛け声も面白い。
そしていよいよ本番、神社への奉納神事である、古式ゆかしき七行器(ナナホカイ)行列が、23日朝7時50分、お党屋本陣を出発する。町の資料にはこう紹介してある。「身を浄め、花嫁衣装を身に纏い 神様の喜び給う供え物 七つの行器に満たし盛り云々」
この期間、会津鉄道では浴衣姿のお客様は、運賃を三割引にする。更に、7月23日、この朝の神事である七行器行列が見られるように、会津若松発早朝5時50分の臨時列車を運行することにした。
是非、皆さんご一緒に、この南会津の文化を体感してはいかかでしょう。
※この文章は会津嶺2017年7月号に掲載されたものです。